2020年はコロナショックの影響で株価が割安になった会社も増えてTOBが沢山行われました。
2021年以降も割安になったままの会社があるかもしれません。
TOBを仕掛ける側にとって割安な会社はバーゲンセールのようなものですからね。
この記事ではTOBについて解説していきます。TOBとは、
株式公開買付け(Take-Over-Bid)は、ある株式会社の株式の買付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で株式等を買い集める制度のことである。
TOBによって株価がどうなるか?を知っておくだけで、今後TOBというイベントが起きても適切に対応して損失を抑えて利益を伸ばせるようになるでしょう。
>>株価がどうなるのかだけ知りたい人はこちら
TOB(株式公開買付)とは
株式を一定の割合以上保有すると以下のようなことができるようになります。
- 33%(3分の1)超えを取得すれば、重大な決定事項を拒否できる
- 50%(2分の1)超えを取得すれば、社長・役員など経営者をクビにしたり新しくできる
- 66%(3分の2)以上を取得すれば、会社を解散・合併することができる
友好的TOBとは
TOBをやる前に買収対象企業の経営陣と交渉をして同意を得た上で実施されるTOBのこと。
買収後のことを考えたら同意を取ったうえでやる方がスムーズに経営できるという良い面が多いので日本では友好的TOBは多めです。
敵対的TOBとは
TOBをやる前に買収対象企業の経営陣と交渉をしない(同意が取れない)まま、実施されるTOBのこと。友好的TOBと違って手間や時間がたくさん必要なので買収成功率は低め。
33%以上の株式を保有することで実質大株主になれるので、3分の1以上の株式を取得する場合は公開買付けすることが義務付けられてるのでニュースになります。
敵対的TOBの場合は買収対象企業側が買収防衛策を仕掛けることがあり、それによって株価に影響して場合によっては、株主が損失を被る可能性があります。
買収防衛策
自社でできる方法
- ポイズンピル(毒薬条項、ライツプラン)
- ゴールデンパラシュート
- ティンパラシュート
- MBO
- プットオプション
- チェンジ・オブ・コントロール
- 黄金株
- 絶対的多数条項
- 全部取得条項付株式
- 事前警告型
友好的な第3者に頼る方法
- ホワイトナイト
- 第三者割当増資
- 第三者との株式交換
企業価値を低下させる方法
- ジューイッシュ・デンティスト
- 焦土作戦(クラウン・ジュエル)
- 資産ロックアップ
その他の方法
- パックマン・ディフェンス
- スタッガードボード
- 労働組合との関係
買収防衛策が19個も存在してる時点で、敵対的TOBの成功率の低さはなんとなく察してしまうでしょう。日本では村上ファンド、ライブドア、ドンキホーテが有名企業を敵対的TOBをしたことで有名になりました。
TOBのメリット
TOBには買う側と売る(対象企業)と株主側、双方にメリットがあります。
買う側のTOBメリット
あらかじめ決めた期間に、決めた価格、決めた株数を買い取れる。予定が立てやすい。
公開買付をしないで市場価格で取引すると、自分が購入することで株価が高くなってしまい、予算オーバーしてしまう可能性があります。33%以上の買付を実施する場合はTOBが義務付けられてる。
売る(株主)側のTOBメリット
短期間で大きなリターンを得やすい。
TOB価格は市場価格よりも高い価格に設定します。市場価格よりも高くないと売る側の企業は経営権を大きく取られてしまうのにメリットがないのでは買付が上手く行かないので、プレミアム価格を乗せます。
TOBのデメリット
TOBが実施される場合にTOBを仕掛ける側と私たちにもデメリットが存在します。
買収防衛策による1株当たりの価値の下落可能性
特に敵対的TOBの場合は、買収される側の買収防衛策によって企業価値が落ちて、株主からすれば1株あたりの価値が下がる(株価が下がる)。自社が防衛策で対抗しようとすればするほど株主にとってはダメージが大きくなるでしょう。
株価への影響
2020年に行われたTOBでは実際にどうなったか見ていきましょう。
2020年に話題になったものを取り上げていきます。
- 三井不動産と東京ドーム(友好的TOB)
- コロワイドと大戸屋(敵対的TOB)
- 伊藤忠商事とファミリーマート(完全子会社化)
- NTTドコモと日本電信電話(完全子会社化)

三井不動産と東京ドームは友好的TOBでした。

コロワイドと大戸屋は敵対的TOBでした。
TOB発表日=2020/7/9:株式会社大戸屋ホールディングス株式(証券コード : 2705)に対する
公開買付けの開始に関するお知らせ

伊藤忠商事とファミリーマートは友好的TOBでした。
TOB発表日=2020/7/8:株式会社ファミリーマート株式(証券コード :8028)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

NTTドコモとNTT(日本電信電話)は親子関係の会社でしたね。
TOB発表日=2020/9/29:株式会社NTTドコモ株式等(証券コード 9437)に対する公開買付けの開始及び資金の借入れに関するお知らせ
TOBで個人投資家ができること
市場で売却する
TOBが発表されたら株価は敵対的TOB以外でなければ上がるでしょう。
市場で売却する場合は普段行ってるように取引するだけなので最も簡単です。

売買手数料が普段のようにかかるよ!
TOBに応募するメリット
TOBでの買付け価格は市場よりも高めに設定されてることが多いので、市場で売却するよりも高値で売却できる可能性が大きい。売却時に手数料がかからないことも応募するメリットの1つである。
TOBに応募するデメリット(リスク)
TOBには2種類あります。
- 全部買付:応募した株式を全て買い付ける
- 一部買付:予定数を超える応募があった場合は抽選
全部買付の場合はリスクは大きくありませんが、後者の場合抽選に外れてしまうとTOBが終わった後に市場で売却するか継続して保有することになります。しかし、TOB後は株価が下がることもあるので損失を生み出してしまう可能性があるでしょう。
TOBに参加しないで継続保有するメリット
買収される程の価値があると思われたら、長期的に見ればさらに株価が上昇していく可能性があります。長期的に見てTOB価格を上回ればTOBに応募するよりも大きなリターンが得られるのでTOBに応募しないメリットになります。
TOBに参加しないで継続保有するデメリット(リスク)
TOBの目的が全株取得による完全子会社ならば、保有している株式はTOBが終わった後に上場廃止となってそれ以降取引が出来なくなります。
(1)完全子会社化の条件(既存株主から株式を強制取得する代わりに、既存株主達に何を渡すかの条件)が決定。
(2)上場廃止になる。
(3)最後に完全子会社化のための株式の強制取得を行う。
このとき(1)と(2)の間での株価は、(1)で決定した既存株主達が代りに受け取るもの(お金、新しい親会社の株式、等々)の価値で決まります。
上場廃止になると配当金が減ったりなくなる可能性もあるし、その株式がいらなくなった場合に売却するのもコスト(時間とお金)が高くなってしまうので、上場廃止されると分かっている株式を保有するメリットはありません。

NTTドコモ(子会社)とNTT(日本電信電話)のようなTOBだな。
さらにTOB後は敵対的TOBだと株価が下がることもあるので損失を生み出してしまう可能性があるでしょう。
まとめ
TOBが発表された場合、TOB価格、TOBの予定日、現在の株価を確認して取引していきましょう。
敵対的TOBでなければ会社の価値は高く評価されてることを意味するので、個人投資家(トレーダー)は稼ぐチャンスだと思います。
敵対的TOBの場合は、買収防衛策として会社の価値を落とすこともありコロワイドと大戸屋のように両方の会社の価値が下がり株価が下がってしまうこともあるので、TOBが発表されたら友好的TOBなのか敵対的TOBなのかニュースで確認していきましょう。
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